うつ病・その他の気分障害
うつ病を含む「気分障害」について
「うつ病」や「躁うつ病」は一般的に良く知られている病名ですが、いずれも「気分障害」という分類に含まれる疾患です。
「気分障害」との名称は、一般には馴染みが薄いかもしれません。
悲しい・憂うつなどマイナス面から爽快・高揚などプラス面にまで及ぶ、「気分(mood)」に変調をきたす疾患の総称です。
分類の「箱」?
精神的な病気を、症状や経過ごとに診断の分類の箱に仕分けして入れるとしたら??
「気分が安定している状態」から大きく外れる気分の落ち込みや、逆に気分の高揚などの症状が現れる病気は、まずは「気分障害」の箱に入るとお考えください。
そこからさらに、「うつ状態の時期だけがみられる(過去にみられた)」「躁状態(もしくは軽躁状態)の時期もみられる(みられた)」etc.症状の程度などによってどんどん仕分けしていくと、「うつ病」「双極性障害(躁うつ病)」「気分変調症」など、よりピンポイントの診断名が現れます。
「気分障害」が分類の入り口で、症状の把握が進むにつれてそれぞれの診断名にたどりつくことになるため、「あなたは気分障害と診断されます」と言われる機会は少ないかもしれません。
うつ病と躁うつ病は別の病気です
ちなみに従来は、躁状態とうつ状態の双方が現れるものが躁うつ病と呼ばれていましたが、気分が変動するなかで「躁」と「うつ」双方の極を持つということから、「双極性障害」という名称が一般的となってきています。
また、同じ気分障害に分類されているうつ病と双極性障害(躁うつ病)ですが、近年ではそれぞれ異なる病気であることがわかってきました。
治療法も異なるため、同じ箱の分類に入れるのは不自然ではないかという議論もあります。
ゆううつな気分が現れると患者さんご本人が辛さを感じるため、病気の「症状」として認識されやすいのですが、爽快感や高揚した気分など躁状態のときに現れる症状は「物事がうまくいく」「元気にやれている」という自覚に留まってしまうことも多く、病気の症状であると気づくのが難しいのです。
このため、正確な診断に結び付くのが遅れることもあります。
そこで、ご家族や周囲の方からの「普段と違う」という情報がとても重要です。
→うつ病