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酷暑

[2018.07.24]

猛暑、酷暑の7月ですね…。

 

毎年この時期は、産業医としてあちこちで熱中症への注意喚起、対策について講話をさせていただきます。
最近はニュースやワイドショーで毎日のように熱中症対策のあれこれを伝えているため、みなさんよくご存じです。

それにしても今年の暑さは尋常ではありません。
各地での気温が伝えられると、ここは日本だろうか?と耳を疑いたくなります
また、西日本の豪雨の被災地での暑熱環境はいかばかりか、と思うと胸が痛みます。
小学生のお子さんが校外学習のあとに熱射病で亡くなるという痛ましい事例もありました。

 

ところで、その事例の小学校で、学校側が今後の対策として挙げた熱中症対策のひとつに、児童に1日1回塩タブレットを服用させるようにすると報道されていました。
昨今、「塩飴」や「塩タブレット」が熱中症対策関連商品としてさかんに宣伝されているのが気になっていましたが、ここまで堂々とお墨付きを与えられているとは…。

大量に発汗するなど水分の喪失が始まっている状況で水分だけを摂取すると、体液の浸透圧の関係でよけいに細胞内の脱水が進んでしまいます。
このため、細胞内に水分を届けることのできる塩分濃度、浸透圧の飲料(経口補水液、スポーツドリンクなど)を摂取するのは脱水の補正に有効です。

しかし、「予防」と称して塩分を摂取しても、水分補給時に細胞内に浸透しやすい濃度に調整できるわけではありません。
発汗によって失う塩分量よりも摂取する塩分が多ければかえって塩分摂取の過多となります。
特に、高血圧などの基礎疾患がある方は血圧上昇につながりかねないといった弊害も心配されます。

 

身体が脱水に陥って塩分も不足すると体温調節機能そのものが低下してしまうため、水分と塩分が不足しすぎないようにするのは大切なことです。
ただし、熱中症の問題は、体温が高くなりすぎて身体が生命活動に適していない温度におかれてしまうこと。

もちろん身体には「恒常性」という機能が備わっていて、体温が高くなれば下げようとする、下がれば上げようとします。
高温環境や運動で体温が上がった時には皮膚の汗腺から汗が出て、汗が体表面で蒸発するときに気化熱が奪われることを利用して体温を下げようとしますが、体温よりプラス2度も3度もあるような気温の中、さらに湿度も高く発汗による体温調整がうまくいかないような環境の中では、体温を下げる効果にも限界があります。

水分・塩分摂取は、体温を下げようとして発汗する分を埋め合わせるためのものですが、いくら水分・塩分を補充したとしても体温を下げる働きに限界があれば熱中症の予防にはなりません。

 

 

熱中症の予防は体温を上げないことがまず第一!

 

~体温を上げないために~

暑い屋外に出ない
やむを得ず外出する場合はできるだけ日陰を歩き、冷たいペットボトルなどで首や脇の下をこまめに冷やす
 (太い血管が体表近くを流れている部位を冷やすことで、体温を下げる効果があります)

屋内では我慢せず冷房を使う

 

~体温が上がってしまい、発汗しているとき~
~発汗に伴う水分・塩分喪失の予防に~

こまめに水分を補給する
長時間の外出、スポーツなど発汗が著しい時はスポーツドリンクや経口補水液で塩分も併せて補給

気分が悪くなる、めまいや頭痛など症状が少しでもあれば、とにかく涼しい場所へ移動、身体を冷やす

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