クリニックの名称についてー③まな
さて、年始のご挨拶を挟んで第3回まで引っ張りましたが……。
クリニック名についての続き、名称に「まな」を冠したことについて。
前回は、クリニックのコンセプトである「こころとからだ」を満たすものとして、「まな」という言葉を使ったと書きました。
名称の候補として色々と調べてみたり、改めてその意味について考えてみたりしたところ、面白いことに古今東西3種の「まな(マナ)」が似たような意味を持っていることに気づきました。
1)日本語で「真魚(まな)」
「まな板」の語源でもある魚そのものを指す言葉です。古くは日々の糧である主菜を意味していたようです。地方によってはお食い初めのことを「まな初め」と呼ぶところもあるそうです。
(調べて初めて知ったことですが、弘法大師の幼名は真魚(まお)だとか。何だかご利益がありそうな有難い気持ちになりました。)
2) オセアニア(ハワイなど)の言葉の「マナ」
オセアニア地域の原始的な宗教由来の言葉で、超自然的な力、生命エネルギーの源とされるものだそうです。病気や疲労で衰弱した人がマナを与えられると、より良い状態に変化できるとのこと。
3) 旧約聖書に由来する「マナ」
荒野で飢えた民のために、神が天から降らせた糧のこと。
実はいずれも1)は読み方として認識していたり、2)3)は世の中にそういう言葉があると知識として知っていたり、以前から馴染みのある響きではあったのですが、母語であるはずの日本語が意味する1)について「魚」以上の意味を考えたことはありませんでした。
古くは食材はすべて「菜(な)」と呼ばれていたものが、魚は最も身近で最も美味であるところから「真の」がついて真菜=真魚に転じたという由来もあるようです。日本人が大切な日々の糧として食べてきたものだからこそ、「真魚の祝い」や「真魚初め」として受け継がれてきたのでしょうね。
2)については、文化人類学への関心を持つなかで目にしていた言葉でした。3)は、某「マンナ」ビスケットの名前の由来にもなっていますね。
いずれも人が生きるうえで欠かせないエネルギー源だったり糧だったりと、「こころとからだの栄養」と言い換えてもいいように感じられます。
また言葉そのものの響きも柔らかく、その音から連想される「まなこ」「まなかい」「まなざし」などは、優しく丁寧に目を向ける、目を留めることにつながるような印象も受けました。
このようなことを思い巡らしつつ、最終的にクリニック名の由来としました。