社交不安症(社交不安障害SAD)
よほど肝の据わった人でない限り、さほど親しくない人や大勢の人々を前にした緊張は誰にでもあるものです。
しかし、緊張からくる不安が過度に強く、日常生活に影響を来すようになると「社交不安症(社交不安障害SAD:social anxiety disorder)」として治療したほうがよいこともあります。
社交不安症(社交不安障害)では、親しい人以外の人と話したり、人前で話したり文字を書いたりするような、注目や評価を受けるような対人場面での不安が過度に強いのが特徴です。強い不安と緊張のためにうまく話せなかったり、声が出なかったりします。また動悸や震え、吐き気、腹痛、発汗などの身体症状を伴うこともあります。
こうした状態を経験するうちに、人前でまた同じ状態に陥るのではないかという不安(予期不安)に陥ってしまいます。
そうすると対人場面を避けるようになり(回避)、社会生活に支障を来すようになってしまいます。
「社会不安障害」と呼ばれることもあります。
治療
脳内の「神経伝達物質(神経伝達を司る物質)」がアンバランスになっているために、不安を感じやすくなっていると考えられています。そこで、そのバランスを改善するための薬を調整します。
ただし、「また同じ症状が現れたらどうしよう」と予期不安を感じて対人場面を回避し続けることでさらに人前での不安と緊張が強まり、回復に時間がかかることがあります。
このような場合、「認知行動療法」が薬物治療と並ぶ治療の一環となります。ご本人にとって苦手な場面をランク付けしたうえで、ハードルの低い場面から徐々に経験して乗り越えていく練習に取り組んでいただく方法です。
こうして、対人場面に条件づけられてしまった不安を和らげていきます。