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漢方薬についてFAQ

 

Q.漢方薬(漢方医学)とはどのようなものですか?

A.漢方医学は、中国の医学・薬が日本に伝わり、日本の風土・日本人の体質に合わせてわが国独自の医学・薬として発展してきたものです。
江戸時代にヨーロッパから「西洋薬」が入ってきてからも長い間漢方医学が日本の医学の主流でしたが、明治期に西洋医学の波に押されていったん衰退しました。
しかし西洋医学とは異なるその守備範囲や効果から、再び広く用いられるようになっています。

 

Q.漢方薬というと、煎じて飲むのでしょうか?高価な薬なのでは?

A.そのようなことはありません。生薬を煮出して作る昔ながらの「煎じ薬」に比べて格段に服用しやすいエキス剤(顆粒状の薬や錠剤)が普及しています。
また、医療機関で処方される漢方薬には一般の「西洋薬」と同様に健康保険の適用があり、内科・外科・その他の診療科を問わず多くの医療機関で処方されています。

 

Q.漢方薬と西洋薬(一般薬)との違いは何ですか?

A.対比してご説明します。

「西洋薬」という言葉自体、耳慣れないかもしれませんね。現在ではヨーロッパ発祥の「西洋医学」が医学の主流となっているためあえて「西洋薬」という言い方をする機会は少ないのですが、日本由来の「漢方医学」や「漢方薬」との対比で「西洋医学」「西洋薬」という言葉を使います。

西洋薬の由来・作用の仕方:
まず西洋薬は一部自然由来の物質もありますが、その多くが科学的に合成された(一部自然由来の物質もあり)薬物です。

西洋薬は一般的に、発熱や痛みに対してであれば消炎鎮痛など症状に対してピンポイントで「抑える」ような働きを持つものが多くあります。

精神症状に対しては、脳の中での特定の働きを止めたり促したりする薬物が用いられます。例えば睡眠薬や抗不安薬は、脳内で特定の物質の作用を強め、催眠や鎮静効果を発揮します。
また、抑うつ状態や不安が強いときは、急性のストレスもしくは慢性的なストレスに対抗しようとして脳が疲弊した結果、脳内の「神経伝達物質」が不足したり逆に過剰になったりしていることがあります。これらを増減させるのが抗うつ薬や抗精神病薬です。

 漢方薬の由来:
漢方薬は自然界の動植物、ときに鉱物が原料です。そのほとんどが植物の実や根や皮など、いわば食物として口にするものばかりです。それでもただの食品ではなく、長い年月の間に薬理作用があると確かめられている原材料(生薬)を絶妙なバランスで組み合わせることで様々な漢方薬(漢方処方)が出来上がります。

「葛根湯」など馴染みのある漢方薬の名称は、いずれもいくつかの生薬の組み合わせに対して付けられているものです。(例えていうならカクテルに名前がついているようなものです)

漢方薬の作用:
例えば身体が疲弊したり貧血のような状態に陥っているような時は身体に不足しているものを補い、逆に体の中でいわゆる「メタボ」のように多すぎて負担になっているものがあれば外への排出を促します。

そうすることで生体のバランスを整え、「病気」や「病気の一歩手前の不調」の状態を是正します。

また、風邪や胃腸炎などの際には、ウィルスや細菌のように明らかに病気の原因となっている外因を追い出すような作用を持つ漢方薬もあります。

心療内科でよく処方されるのは、穏やかに気持ちを落ち着かせる作用があったり睡眠の質を改善したりするような漢方薬や、こころの症状に伴いやすい喉の詰まったような感覚や動悸、息苦しさ、腹痛、下痢など様々なからだの症状を改善するような漢方薬です。

 

Q.漢方薬は安全でしょうか?副作用はないのでしょうか??

A.一般薬に比べると少ないと言えますが、ゼロではありません。漢方薬と言えども薬として身体に影響を及ぼす(そのうえで効果を発揮する)ものですから、それが個人差も働いて強く作用したような時や、稀にアレルギー反応によって何らかの副作用が生じることもあります。一般薬でもそうですが、どのような薬にも副作用の可能性が全くないとはいえません。
漢方薬の副作用として起こりうるのは、胃腸症状や血圧の上昇、肝機能への影響などです。ただしこれらの副作用は、服用を中止すれば短期間で回復するものがほとんどです。服用中のご様子をしっかり把握することで、もし何らかの副作用があった場合には早く気づくことができます。

 

Q.漢方薬を服用した経験がないのですが……?

A.ご心配なく。

医療機関で漢方薬を処方されたり、ご自分で購入して服用したことのある方は少ないかもしれませんね。

ところが実は、「風邪に葛根湯(商品名カコ〇ール)」「二日酔いに〇〇(商品名)」など、ドラッグストアの棚には意外と多くの漢方薬が並んでいます。一見、漢方薬とは思えないカタカナの名称なので、そうとは気づかないかもしれません。
実は心療内科領域でよく処方されるストレス性の症状、特に消化器症状(喉の違和感や腹痛、下痢や便秘など)にも漢方薬がカタカナ名で商品化されているものがあります。なかには顆粒状の薬ではなく錠剤のものもあるため、知らず知らずのうちに漢方薬とは思わずに服用した経験をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。
医療機関で処方される漢方薬についても、比較的抵抗なく始められる方がほとんどです。

ただし、患者さんによっては「粉薬が呑み込めない」「味のある薬は苦手」という方もおられるかもしれません。甘くて風味のよい飲みやすい処方から試してみたり、飲みやすくする工夫をお伝えしたり、錠剤の形態がある処方については錠剤のものを処方することもありますが、もちろん苦手を押してあえて漢方治療を選択することはありません
診察のうえでまずは漢方薬による治療からお勧めすること、もしくは一般薬によるスタンダードな治療に加えて漢方薬の併用をご提案することもありますが、あくまでも希望される方にのみ処方しています。

 

Q.漢方薬は体質改善のため?長期に服用しないと効果がないのでは??

A.必ずしもそのようなことはありません服用し始めて間もなく効果が実感できることもありますし、一般薬のように頓服(症状があるときもしくは強いときにだけ服用)で症状を和らげることができる漢方薬もあります。

 

Q.心療内科・精神科でよく使われる漢方薬にはどのようなものがありますか??

A.処方する機会の多い漢方処方の例として:

憂うつ感や不安感、イライラ感など気分を主に改善する処方

  • 抑肝散/抑肝散加陳皮半夏(よくかんさん/よくかんさんかちんぴはんげ)
  • 香蘇散(こうそさん)

気分に加えて頭痛、耳鳴り、のぼせ、「喉のつまり感」や息苦しさ、
その他様々な身体症状(自律神経失調症状)を伴うとき

  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 加味帰脾湯(かみきひとう)

疲労感が強いときなどに元気を補う処方

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
  • 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)

眠りの浅さや夢見の悪さを和らげる処方 →「睡眠薬について」にも記載あり

  • 酸棗仁湯(さんそうにんとう)

悲しさや不安感、情緒不安定さを軽減する処方

  • 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
  • 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)

上記の処方はあくまでも一例です。
便宜的に主なターゲットとする症状ごとに処方を分類しましたが、実際はいくつかの症状群にわたって効果を発揮する処方もあります。
(例えば不安感にも眠りにも効果を発揮する処方、元気をつけながら憂うつな気分を和らげる処方、など)
経過や症状、体質に加え、必要に応じて漢方医学的な診察(四診)にて処方を選択します。

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