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休み明け&休み始め

[2018.08.18]

今週前半はクリニックを夏季休診とさせていただきましたが、通常診療に戻っております。

休み明けは何となく身体が重たいですね。
次々に発生する台風の影響もあるかもしれませんが……。

 

さて、タイトルの「休み明け」と「休み始め」について。

 

まず、「休み始め」

 

過重労働や精神的ストレスの多い環境での勤務がきっかけで抑うつ状態となり、仕事を休んで自宅で過ごすようになったようなとき。
しばらくの間は、寝てばかりとか動けないとか、だるくてだるくてたまらないとか、本当にがくっと体調の変化を感じる方がとても多いようです。

そのような休職のタイミングで薬物治療も同時に始めたような場合に、

「それまで何とか朝は起きて出勤し、仕事はこなせていたのに……これは飲み始めたばかりの薬の影響では?」

「こんなにだるくて大丈夫だろうか?」

「薬の副作用で起き上がれないほどになってしまった、怖い!!」

と心配が募ってしまい、自己判断で薬の服用をやめてしまう方もおられます。

 

でも、ちょっとお待ちください。
本当にそれは薬の副作用でしょうか?

 

以前、自律神経系についてこのホームページの中でご説明しましたが、自律神経の働きから言うと:

 

既に体調の悪さを自覚しながらも何とか気を張って仕事に行っていた
(心身の緊張をつかさどる交感神経を最大限に働かせていた)
 ↓

交感神経の働きの限界
 ↓
≪仕事を休む≫
 ↓
交感神経は休ませ、心身をリラックスさせる(緩める)方向に働く副交感神経が優位になる
 ↓
身体は重く、眠たくなる
 
 
こう考えると、まさに「気を張っていた」状態から「気が緩んだ」状態になっているのですから、だるくて眠くて起きられなくても当然と言えます。
休み始める前のことを思い出してみましょう。平日は何とか出社していたけれど、土日はだるくて一日中寝ていた、なんてことはありませんでしたか?
 
もちろん、抑うつ状態に伴って不眠の症状や不安緊張が強い状態があれば、睡眠を助ける薬や不安緊張を和らげる薬を処方することもあります。
そのために薬の働きで眠気やだるさが現れるということもありえます。
 
けれども、休み始めはそれだけ身体が休息を欲している状態。
それまで気を張りすぎて十分に休むこともままならなかった心身に休息を取ってもらうために、薬の助けも必要です。
(うつに伴う焦りや不安緊張が強いと、仕事を休み始めてもなかなか休息モードに入れないことが度々あります)
 
いたずらに服薬を恐れず療養初期にしっかり休息をとることで、日常生活、社会生活ともに着実に回復の階段を上がっていけるでしょう。
特に「休み始め」が肝心なのです。
 
 
ただ、抑うつ状態に陥るまで頑張っていたような方ほど、「上手に休む」のが苦手なようにお見受けします。
 
「敵を知り己を知れば…」の言葉のように、まず病気について知り、ご自身の状態についても知ることが回復の助けになります。
診察にあたっては、診立てや今後の見通しとともに「休み方」「休むにあたってのコツ」を織り交ぜながらお伝えしています。
 
「休み始め」、焦らず過ごしていきましょう。
 
 
 
そして「休み明け」
 
 
冒頭に記したような数日間の休暇明けであっても、仕事に戻るにあたってすぐにはすっきりしゃっきりといかないこともありますよね。
これは先ほどの自律神経系の働きで言えば、休み中に副交感神経優位になった身体がすぐにはお仕事モードの交感神経優位には切り替わらないということでしょう。
 
病気療養からの復職も言わば「休み明け」。休職期間が長期化すればある程度の助走期間は必要になりますね。
職場によってリハビリ勤務の用意があるところ、外部のリワークを利用するケースなど様々でしょうが、そういったリソースを利用されない場合は診察のなかで生活指導を行い、セルフリハビリをしていただいています。
 
産業医を選任されていない規模の職場では、主治医の診断書=(即)復職ということもありますが、一般的に復職の判断は:
 
主治医の意見(診断書)+産業医面談等を通じて出された産業医の意見+人事担当者などとの面談→最終的に会社として総合的に復職の判断を行う(時期や配慮の有無も含め)
 
となります。
 
復職の条件として「定時で週5日」働ける体力、能力が回復していることが大前提として求められ、短時間勤務などの配慮が全くないこともあります。
ですから、日常生活には支障がなくなったから復職もできるだろう、と判断するのは危険です。
 
限られた休職期間や経済的な事情、周囲への遠慮からくる焦りもあって(それは十分理解できることですが)、まだ時期尚早と思われるタイミングで復職可の診断書を希望される方は少なからずおられます。
しかし、産業医や人事担当者との面談で直近の生活状況を確認され、復職に待ったがかかることもあるのです。
それだけでなく、焦って復職したものの症状がぶり返して、ほどなく再休職に至るという例も少なくありません。
 
 
当クリニックでは、生活記録や復職チェックリストなどを活用し、復職に向けての生活リズム作りや体力づくりを着実に行っていただいています。
復職可能なタイミングを見極めてスムーズに復職できるよう、できる限りのお手伝いをしたいと思っています。
 
また、当クリニックにて精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)への相談ができるようになりました。
復職や再就職といった就労にまつわる相談も可能です。必要に応じて医師からご案内するほか、通院中の方からご希望があれば相談予約を受け付けています。
 
どうぞお気軽にご相談ください。
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